県民ボランティア支援センターが主催した研修に参加しました。その報告です。
~NPO向けコロナ下でのイベントやセミナーの活動ポイント~
【講 師】山口 征啓 氏(特定非営利活動法人KRICT理事/健和会大手町病院感染症内科医師)
【日 時】2020年12月5日(土) 10:00~12:00
【場 所】ZOOMでのオンライン参加or県民ボランティア支援センター
コロナの現状
第2波で自粛回数が多かった分、第3波では少ないと推測される。またPCRの検査数が多いこともあげられる。
長崎はかなり少ない。
ただし、地方はこの年末年始で感染拡大するリスクは潜んでいる。「流行地域からPCR検査が陰性だからきました!」という考えかたが最もリスキー(ハンズオンながさき会員の看護師の意見)。
COVIT-19とは
人が感染するのは6種類のコロナウイルス。その内4種類は風邪の原因(10~15%)。
MARSは強力なので、隔離がしやすかった。
COVIT-19は約8割の感染者は他へ感染させない。残り2割がクラスターなどを引き起こす。
インフルエンザの方が感染力高い。
潜伏期5日(インフルは2日)。濃厚接触者は2週間自粛する。コロナの対応が一番大変な点。
感染者
8割は風邪の症状。そのまま回復する。
残り2割が肺炎を引き起こし入院。入院した2割(全体から見て1割)が重症化。重症化した約5割(全体から見て約5%)が死亡。
肺炎からの重症化が早い。
重症化する要因
年齢・合併症。50歳未満はほとんど死なない。
70歳以上は8%以上が死亡。
心血管・糖尿病・慢性肺疾患・高血圧・がんなど持病がある人は死亡率が高い。
若い人の場合、肥満の人は重症化しやすい。
症状
風邪と全く一緒。1週間後、肺炎を起こしているかで判断している。
血液検査は役に立たない。
PCRは感度が悪い(7割の精度)。つまり3割の患者を見逃す。
偽陽性もあるので、検査は疑わしい人に絞った方が良いと考えている。
非常に地域での流行の差、流行する時期の差、症状の差が大きい。
8割軽傷で1割重症化する。8割は移さないのに、クラスターも多い。希なウィルス。
患者より濃厚接触者の方が隔離時間長いのも特徴。
一般でやるべき予防
- 体力低下の防止(残業など過重な負荷をかけない)
- 手指衛生
- 咳エチケット
- 3密を避ける(リスクのある行動を避ける)
- 病院・介護施設へ持ち込まない
- 高齢者は人混みを避ける
- 具合が悪い時は仕事に行かない(37.5℃)
「コロナは必ず入ってくる!」と考える。水際作戦では難しい。
入ってきても大丈夫なイベントの組み立て、施設の管理にする。
濃厚接触者を出さないようにすることが現実的である。
濃厚接触者の目安
- 2m以内の距離(せめて1m)
- 15分以上の会話
- マスクなし(マウスガードはマスクとは見なされない)
感染経路
- 飛沫からの感染(1-2m)
- エアロゾル。3密状態からの感染。
- 接触し手から目・鼻・口の粘膜から感染
飛沫対策
- 2mの距離を取る
- それ以下であればマスク必須
自分の飛沫を飛ばさないためにマスクはある。互いにマスク(フェイスシールド)をしていればOK。
相手がマスクをできない場合(認知症など)であればフェイスシールドをする。
マウスシールドはマスクより効果が落ちる(隙間から飛沫)
マウスシールドでは、マスクをしているとみなされない(保健所も同様)
エアロゾル対策
エアロゾルは空気感染とは違う(結核・はしかとは違う)
3密を避け、換気を行う。
部屋の対角線で部屋を開けるのが有効。開けっ放しの方が煩雑にならず労力が少ない(寒いが)
エアロゾル感染を重点的にした方が良い。
換気について
エアコンでは換気にならない(最新のエアコンで外気を取り込むものは多少換気にはなる)
空気清浄機は効果が実証されていない状況。
換気がしにくい部屋でのオススメ。ダイキン電熱交換機(約10万円程度)
エアロゾルは病室4人部屋ぐらいだとリスクがある(それ以上だとエアロゾルが霧散する)
空気が溜まりやすい場所の空気を動かすように、サーキュレーターを動かす。
湿度はあった方が良いが、コントロールが難しいので、気にし過ぎなくてよい。
接触予防
アルコール・流水での手洗いが良い。
目・鼻・口の粘膜から感染するので触らない。
手にウィルスがついただけでは感染しない。
新型コロナの感染リスクを高める7つの場
- 飲酒を伴う懇親会
- 大人数・深夜の飲食
- 大人数・マスクなしでの会話
- 仕事後の休憩(更衣室など)
- 集団生活
- 激しい呼吸を伴う運動
- 屋外での活動の前後(控室・移動の車中など)
イベントをやる場合は参加者の把握が重要(参加者名簿の作成など)。
事前登録制。ただし紙使用はリスクがあるので、Googleフォームなどitを利用する。
コロナは偏りが大きい感染症
一律の対策は無駄が多くなってしまう。
流行している時は厳しい対策や中止・延期をし、流行が落ち着いた時は少し緩めでも良い。
長崎県は全国的にリスクが低い地域(令和2年11月時点)。
距離・換気・マスク着用など、しっかりやっていれば過剰に恐れる必要はない。
消毒の方法について
【手指消毒】
アルコール・流水での消毒
【環境消毒(物)】
推奨されている薬剤を使用(環境消毒薬と書かれているもの)
拭く(スプレーは効果ない)、空間の消毒はできない、床・靴は無意味
【補足 消毒と除菌の違い】
消毒:消毒の基準がある
除菌:基準がない
消毒薬と書かれているものを使用する。
物の消毒について
消毒はツルツルのものじゃないと拭けない。
布などは消毒不可。ツルツルのカバーをかけるor洗濯(物理的に菌が落ちる)をする。
マイクの消毒はどうしたらいい?
マイクは消毒できないものと考えて使う。
口・手をマイクにつけない。スタンドマイクで手持ちにしないのが一番。
高さやマイクを扱う人を一人に固定する。
手袋は効果がない(手袋を洗うことはないのでかえってよくない)
質疑応答
○体温の計り方
非接触型の体温計でもOK。脇で計るのも正確ではない(口・肛門が正確)
○交通機関での感染例は少ない
換気し、利用者も黙っているので。
○次亜塩素酸
次亜塩素酸ナトリウムが正式なもの。
次亜塩素酸は環境消毒には不適、止めた方が良い。
アルコールが良い。
○子どものコロナ対策
子どもはリスクが少なく、子どもからのクラスターの報告もない。
学校・子ども食堂などは対策をやっていれば大丈夫。
保育所は難しいところがあるが、特別なことはしなくて良い。
取り分け(ビュッフェ方式)は避ける、お菓子も同様。
○流行下での帰省
リスクがある人のところへは行かない方が良い。九州は流行地域からのウィルスの持ち込みが多い。
濃厚接触者が家族にいても、自分は出勤・通学しても大丈夫(家族に感染者が出たら、濃厚接触者となる)
○濃厚接触者になると…
【主な流れ】
保健所から連絡がある⇒ヒアリング⇒自宅で自粛要請⇒危ない例のみPCR検査
保健所から指示が必ずあるので、保健所・本人から連絡がなければ大丈夫。
消毒は、陽性者が触った所だけ消毒(コロナは3日で死滅する)
※一部、ハンズオン事務局で表現を変更した箇所があります。